I.慢性肝炎について

定義

臨床的には6ヶ月以上の肝機能検査値の異常とウイルス感染が持続している病態をい い,組織学的には,門脈域にリンパ球を主体とした細胞浸潤と線維化を認め,肝実質内には種々の程度の肝細胞の変性・壊死所見を認める場合と定義されます.そして,その組織所見は線維化と壊死・炎症所見を反映させ,各々線維化(staging)と活動性(grading)の各段階に分け表記されます.

分類

新ヨーロッパ分類

新犬山分類(1996年)

 

 

staging:線維化の程度 activity:壊死・炎症所見の程度

F0:線維化無し

A0:壊死・炎症所見なし

F1:門脈域の線維性拡大

A1:軽度の壊死・炎症所見あり

F2:線維性の架橋形成

A2:中等度の壊死・炎症所見あり

F3:小葉の歪みを伴う繊維性架橋形成

A3:高度の 壊死・炎症所見あり

F4:肝硬変

     

新犬山分類 (1996)

HAI score(1981年)

慢性肝炎の病態を門脈域周囲,小葉内,門脈域の炎症の程度と繊維化の程度の4つのカテゴリーに分類し,半定量的にスコア化したものです(Hepatology 1:431,1981).

T U V W
bridging necrosis 小葉内の変化 門脈域の炎症 線維化
A. none 0 A.なし 0 A.なし 0 A.なし 0
B. mild 1 B. mild (<1/3) 1 B. mild (<1/3) 1 B.門脈域の線維増生 1
C. moderate (≦50%) 3 C. moderate (1/3-2/3) 3 C. moderate (1/3-2/3) 3 C.bridging fibrosis 3
D. marked (≧50%) 4 D. marked (>2/3) 4 D. marked (>2/3) 4 D.肝硬変 4
E. moderate + bridging necrosis 5      
F. marked + bridging necrosis 6
G. Multilobular necrosis 10

HAI score (histology activity index)

 

 

 

 

診断

 

II.肝硬変について

肝硬変とは

病理学的定義

高度の線維化,肝小葉構造の破壊とびまん性の再生結節形成

臨床

代償期と非代償期に分類され,非代償期には黄疸,腹水,肝性脳症などの症状が出現します.

成因

肝炎ウイルス,アルコール,自己免疫性肝炎,NASH などが成因と考えられています.肝炎ウイルスのよるものが80%を占め,肝炎ウイルス中C型肝炎ウイルスによるものが80%,B型肝炎ウイルスによるものが15%です.

症状

肝性脳症(第12回犬山シンポジウム)

昏睡度T

精神症状:睡眠-覚醒リズムの逆転
                    多幸気分,ときに抑うつ状態
                    だらしなく,気にとめない態度
参考事項:retrospectiveにしか判定できない場合が多い

昏睡度U

精神症状:指南力(時,場所)障害,物を取り違える (confusion)
                    異常行動(例:お金をまく,化粧品をゴミ箱に捨てるなど)
                    ときに傾眠状態(普通のよびかけで開眼し,会話ができる)
                    無礼な言動があったりするが,医師の指示に従う態度をみせる
参考事項:興奮状態がない
                    尿便失禁がない
                    羽ばたき振戦あり

 昏睡度V

精神症状:しばしば興奮状態またはせん妄状態を伴い,反抗的態度をみせる
                    嗜眠傾向(ほとんど眠っている)
                    外的刺激で開眼しうるが,医師の指示に従わない,または従えない
                    (簡単な命令には応じえる)
参考事項:羽ばたき振戦あり(患者の協力が得られる場合)
                    指南力は高度に障害

昏睡度W

精神症状:昏睡(完全な意識の消失)
                    痛み刺激に反応する
参考事項:刺激に対して払いのける動作,顔をしかめるなどがみられる

昏睡度X

精神症状:深昏睡
                    痛み刺激にも全く反応しない

肝性脳症の新しい分類(Hepatology 35:716,2002)

A型(Acute)

急性肝不全でみられる脳症

B型(Bypass)

門脈〜大循環系バイパスによる脳症で,肝硬変などの肝疾患をともなわない

C型(Cirrhosis)

肝硬変と門脈圧亢進症,門脈〜大循環短絡路バイパスでみられる脳症

黄疸

血清ビリルビン値の上昇を認め,末期には間接ビリルビン値が優位となります.

腹水

underfilling 説

循環血漿量の減少に基づく腎での水・Na 貯留

overflow 説

腎での水・Na 再吸収亢進

難治性腹水

利尿剤抵抗性:大量の利尿剤でもコントロールできない腹水

利尿剤不耐性:副作用のため有効量の利尿剤を投与できない腹水

消化管出血

 

肝腎症候群

診断

末梢血

脾機能亢進に伴い汎血球減少がみられます.

生化学検査

合成能低下

血清アルブミン値の低下

コリン・エステラーゼの低下

血清総コレステロール値の低下

プロトロンビン時間の延長

ヘパプラスチンテストの低下

線維化マーカー

血中ヒアルロン酸,W型コラーゲン,V型プロコラーゲンN末端ペプチド値の上昇

肝硬変の判別式(Z≧0:肝硬変,Z<0:慢性肝炎):Z=0.124 × γ-globulin(%)+ 0.001 × ヒアルロン酸(μg/l)- 0.075 × 血小板(万/mm3)- 0.413 × 性別(男:1,女:2)- 2.005(Hepatology Research 18:252,2000)

アミノ酸の組成変化

血漿中分岐鎖アミノ酸(BCAA)(ロイシン,イソロイシン,バリン)の減少と,芳香族アミノ酸(AAA)(フェニルアラニン,チロシン)の増加

Fischer 比(BCAA/AAA)やBTR(BCAA/チロシン)の低下

画像診断

内視鏡所見

静脈瘤内視鏡所見記載基準

占拠部位 Ls 上部食道まで認める静脈瘤
Lm 中部食道まで認める静脈瘤
Li 下部食道のみの静脈瘤
Lg-c 噴門部に限局する静脈瘤
Lg-cf 噴門部から穹窿部に連なる静脈瘤
Lg-f 穹窿部に限局する静脈瘤
Lg-b 胃体部にみられる静脈瘤
Lg-a 幽門部にみられる静脈瘤
形状 F0 治療後に静脈瘤が認められなくなったもの
F1 直線的な比較的細い静脈瘤
F2 連珠状の中等度の静脈瘤
F3 結節状あるいは腫瘤状の太い静脈瘤
色調 Cw 白色静脈瘤
Cb 青色静脈瘤
発赤所見 RWM red wale marking
CRS cherry red spot
HCS hematocystic spot
RC0 発赤所見を認めないもの
RC1 限局的に少数認めるもの
RC2 RC1とRC3の中間
RC3 全周性に多数認めるもの
Te telangiectasis
出血所見 出血中 gushing bleeding
spurting bleeding
oozing bleeding
止血後 red plug
white plug
粘膜所見    erosin
ulcer
scar

 

重症度

肝硬変の重症度を判定する方法としてChild-Turcotte 分類とその変法であるChild-Pugh 分類が用いられています.

表 Child-Turcotte 分類

  class A Class B Class C

血清アルブミン (g/dl)

>3.5

3.0-3.5

<3.0

血清ビリルビン (mg/dl) <2.0 2.0-3.0 >3.0
脳症 (-) T - U V - W
腹水 (-) 治療可能 治療困難
栄養状態 良好 ほぼ良好 不良

 

 

表 Child-Pugh 分類

  1point 2 point 3 point

血清アルブミン (g/dl)

>3.5

2.8-3.5

<2.8

血清ビリルビン (mg/dl) <2.0 2.0-3.0 >3.0
プロトロンビン時間 (%) >70 40 - 70 <40
脳症 (-) T - U V - W
腹水 (-) 治療可能 治療困難

Child A:5-6 points,Child B:7-9 points,Child C:10-15 points

治療

抗ウイルス薬

B型肝硬変:エンテカビル

C型代償性肝硬変(Ib高ウイルス以外):IFN β

栄養補給

たんぱく質:1.3 g/kg

非たんぱくエネルギー:30-35kcal/kg

腹水に対する治療

塩分制限:<5-7g/日

利尿薬:スピロノラクトン

                    ループ利尿薬

ADH受容体拮抗薬:VPA-985(Gastroenterol 124:933,2003)

バソプレッシン誘導体:terlipressin(Gastroenterol 122:923,2002)

α-交感神経作動薬:midodrine(Hepatology 28:937,1998)

アルブミン製剤

腹水穿刺排液

腹水濾過濃縮再静注法

アルブミンを節減できるものの,腹水エンドトキシンの濃縮という問題があります(肝胆膵 46:663,2003).

経頚静脈的肝内門脈静脈短絡術(TIPS)

経内頚静脈的にカテーテルを肝静脈まで挿入し,肝内で肝静脈と門脈のシャントを作成し,門脈圧を下げる方法です.肝性脳症,肝不全の進行,心不全の発現などが合併症として挙げられ,肝性脳症,心機能不全,70歳以上,Child-Pugh 12点以上がTIPSの禁忌とされています(Hepatology 38:258,2003).polytetrafluoroethylene-nitinol カバーステントの開存率は1年後84%,2年後98%と報告されています(Radiology 231:820,2004).

LeVeen shunt

腹水を頚静脈に注入する方法で,腹水は改善するものの,予後には影響しないとの報告があります(Am Surg 63:157,1997 ).

肝性脳症に対する治療

低蛋白食

40g/日以下

合成二糖類

経口難吸収性抗生物質

硫酸カナマイシン,ネオマイシン,シプロフロキサシン,メトロダニゾール,ポリミキシンB,塩酸バンコマイシン

分岐鎖アミノ酸

IVR

経門脈的副血行路塞栓療法(PTO)

バルーン閉塞下逆行性経静脈的塞栓術(B-RTO)

食道・胃静脈瘤に対する治療

輸血

Hb 8.0g/dl以下で輸血を考慮

1単位で0.6-0.8g/dl上昇

Shock index (脈拍/収縮期血圧)

Shock index

 

0.5

正常

1.0

1.0Lの体液喪失

1.5

1.5Lの体液喪失

2.0

2.0Lの体液喪失

薬物療法

内臓血管収縮(vasoconstrictor):バソプレッシン,β-blocker

門脈圧降下(vasodilator):亜硝酸薬,Ca拮抗薬,ソマトスタチン

その他:利尿剤,ARB

Sengstaken-Blakemore tube

内視鏡的静脈瘤結紮術

内視鏡的硬化療法

バルーン閉塞下逆行性経静脈的塞栓術(B-RTO)

Lg-f,Lg-cf に適応

経頚静脈的肝内門脈静脈短絡術(TIPS)

部分的脾動脈静脈塞栓術(PSE:partial splenic arterial embolization)

手術(食道離断術,Hassab手術)

肝移植

2004年1月より,成人の非代償性ウイルス性肝硬変に生体肝移植が保険適応となりました.

 

III. アルコール性肝障害について

概念

「アルコール性」とは,長期(通常は5年以上)にわたる過剰の飲酒が肝障害の主な原因と考えられる病態で,以下の条件を満たす者を指す.
1.過剰の飲酒とは,1日平均純エタノール60g以上の飲酒(常習飲酒家)をいう.ただし女性やALDH2活性欠損者では,1日40g程度の飲酒でもアルコール性肝障害を起こしうる.
2.禁酒により 血清AST,ALTおよびγ−GTP値が明らかに改善する.
3.肝炎ウイルスマーカー,抗ミトコンドリア抗体,抗核抗体がいずれも陰性である.

機序

空腸から吸収されたアルコールはアルコール脱水素酵素(ADH:alcohol dehydrogensase),ミクロソームエタノール酸化系(MEOS:microsomal ethanol oxidizing system),カタラーゼ等により酸化を受けますが,飲酒家ではMEOSが大きな役割をはたし,P4502E1がkey enzymeとなります.酸化を受けたアルコールはアセトアルデヒドとなり,アルデヒド脱水素酵素(ALDH:aldehyde dehydrogenase)によりさらに酸化されます.

診断

診断基準 (文部省総合研究A 高田班)

 アルコール性

1. 常習飲酒家(3合,5年以上)

2. 禁酒によるAST,ALTの著明な改善(4週で80単位以下,前値が100単位以下の時は50単位以下)

3. 肝炎ウイルスマーカーは陰性

4. 禁酒により次の検査のうち少なくとも一つが陽性

γ-GTPの著明な改善(4週で前値の40%以下,あるいは正常値の1.5倍以下)

腫大していた肝臓の著明な縮小(4週でほとんど認識できなくなる)

5. 以下のマーカーが陽性であればより確実

血清トランスフェリンの微小変異

CTで測定した肝容積の増加(単位表面積あたり720cm3以上)

アルコール性肝細胞膜抗体が陽性

血清GDHとOCT活性が上昇し,GDH/OCT比が0.6以上

 アルコール + ウイルス性

肝炎ウイルスマーカーが陽性でAST,ALTを除き上記の条件を満たすもの

(4週で120単位以下,前値が120単位以下の時は70単位以下)

アルコール性肝障害の病型および病理診断(日本アルコール医学生物学研究会,2011)

 アルコール性脂肪肝(Alcoholic fatty liver)

肝組織病変の主体が,肝小葉の30%以上(全肝細胞の約1/3以上)にわたる脂肪化(fatty change)であり,そのほかには顕著な組織学的な変化は認められない.

 アルコール性肝線維症(Alcoholic hepatic fibrosis)

肝組織病変の主体が,(1)中心静脈周囲性の線維化(penvenular fibrosis),(2)肝細胞周囲性の線維化(pericellular fibrosis),(3)門脈城から星芒状に延びる線維化(stellate fibrosis,sprinkler fibrosis)のいずれか,ないしすべてであり,炎症細胞浸潤や肝細胞壊死は軽度にとどまる.

 アルコール性肝炎(Alcoholic hepatitis)

肝組織病変の主体が,肝細胞の変性・壊死であり,1)小葉中心部を主体とした肝細胞の著明な膨化(風船化,ballooning),2)種々の程度の肝細胞壊死,3)Mallory体(アルコール硝子体),および4)多核白血球の浸潤を認める.

a. 定型的:1)-4)のすべてを認めるか,3)または4)のいずれかを欠くもの

b. 非定型的:3)と4)の両者を欠くもの

背景肝が脂肪肝,肝線維症あるいは肝硬変であっても,アルコール性肝炎の病理組織学的特徴を満たせば,アルコール性肝炎と診断する.

 アルコール性肝硬変(Alcoholic liver cirrhosis)

肝の組織病変は,定型例では小結節性,薄間質性である.肝硬変の組織・形態学的証拠は得られなくても,飲酒状況,画像所見および血液生化学検査から臨床的にアルコール性肝硬変と診断できる.

 アルコール性肝癌(Alcoholic hepatocellular carcinoma)

アルコール性肝障害で,画像診断,または組織診断で肝癌の所見が得られたもので,他の病因を除外できたものをアルコール性肝癌と診断する.

治療

アルコール依存症の診断

 CAGE法

1. 自分の酒量を減らさなければいけないと感じたことがあるか?(Cut down)
2. 他人に自分の飲酒について批判され気に障ったことがあるか?(Annoyed by criticism)
3. 飲酒について罪の意識をもったことがあるか?(Guilty feeling)
4. 朝酒や迎え酒をしたとがあるか?(Eye-opener)

2項目以上陽性で依存症を疑う

 ICD 10法

1. 飲酒への強い欲望または強迫感
2. 飲酒開始,飲酒終了,飲酒量のいずれかのコントロール障害
3. アルコールを中止または減量したときの生理学的離脱状態
4. 耐性の証拠(同じ酔いを感じるための飲酒量の増大)
5. 飲酒により,他の楽しみや趣味に無関心になり,飲んでいる時間が多くなったり酔いが醒めるのに時間を要するようになる
6. 明らかに有害な結果が起きているのに飲酒を続ける

3項目以上が1年間dで該当すれば依存症と診断する

禁酒

薬物治療

 肝庇護薬

 高脂血症治療薬

栄養療法

 

IV.非アルコール性脂肪性肝疾患について

非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD:non-alcoholic fatty liver disease)

定義

肥満,高血圧症,糖尿病,脂質異常症を基盤とするメタボリックシンドロームの肝臓での表現型と考えられます.炎症を伴う非アルコール性脂肪肝(NAFL:non-alcoholic fatty liver) と,肝硬変に進行する可能性もある非アルコール性脂肪肝炎(NASH:non-alcoholic steatohepatitis)に分類され,比率は9:1といわれています.

頻度

従来日本では10-30%の有病率とされてきましたが,最近の疫学調査(J Gastroenterol 47:586,2012 )でも,29.7%と報告され,欧米諸国(20-40%)よりやや低い数値です.

成因

脂肪肝が生じるfirst hit に別の機序によるsecond hit が加わりNASHが発生するとするtwo hits theory が提唱されています(Gastroenterology 114:842,1998 ).first hit として,遊離脂肪酸の肝細胞への取り込み増加,肝細胞への糖質流入増加に伴う脂肪酸合成促進,肝でのVLDL合成障害と放出低下などがあげられています.second hit としては,酸化ストレス,フリーラジカルの発生,脂質過酸化,エンドトキシンによる炎症性サイトカインの誘導,ミトコンドリア機能不全,アデポサイトカイン分泌の異常などが想定されています.

診断

 

NASH

定義

Ludwig らにより提唱された概念(Mayo Clinic Proc 55:434, 1980)で,脂肪肝に炎症,線維化が加わった状態です.非アルコール性脂肪肝(NAFLD:non-alcoholic fatty liver disease)には脂肪肝とNASH(非アルコール性脂肪性肝炎)があり,比率は9:1といわれています.両者は経過が異なるため(NASHは病気が進行性)鑑別が必要であり,トランスアミナーゼの上昇,血小板低下,線維化マーカー上昇などが鑑別点としてあげられていますが,絶対的なものではありません.確実な方法は侵襲的ではありますが肝生検による組織診断です.

成因

脂肪肝が生じるfirst hit に別の機序によるsecond hit が加わりNASHが発生するとするtwo hits theory が提唱されています(Gastroenterology 114:842,1998 ).first hit として,遊離脂肪酸の肝細胞への取り込み増加,肝細胞への糖質流入増加に伴う脂肪酸合成促進,肝でのVLDL合成障害と放出低下などがあげられています.second hit としては,酸化ストレス,フリーラジカルの発生,脂質過酸化,エンドトキシンによる炎症性サイトカインの誘導,ミトコンドリア機能不全,アデポサイトカイン分泌の異常などが想定されています.

診断

 組織学特徴

小葉中心性の大滴性の脂肪沈着を認め,脂肪嚢,脂肪肉芽腫も検出される.

小葉内に巣状壊死が検出される.

肝細胞の風船様膨化,核の空胞化,マロリー体の出現をみる.

肝細胞周囲線維化,中心静脈周囲線維化,星茫状線維化,噴水上線維化などがみられる.

図 steatohepatitis

 Powell の診断基準

1. 非飲酒者( アルコール摂取量が男性:30g/日以下,女性:30g/日以下 )

2. 肝組織像が steatohepatitis

3. 他の肝疾患の除外

 Brunt の分類 (Semin Liver Dis 21:3,2001)

活動性

 

脂肪化

風船様腫大

小葉内炎症

門脈域炎症

Grade 1 (mild)

-1/3

種々の程度に認める

散在性で軽度

認めない - 軽度

Grade 2 (moderate)

1/3 - 2/3

明らかに認める

慢性炎症所見

軽度 - 中等度

Grade 3 (severe)

1/3 -

高度に認める

急性および慢性炎症所見

軽度 - 中等度

病期

Stage 1 perivenular / perisinusoidal / pericellular fibrosis
Stage 2 Stage 1 + portal fibrosis
Stage 3 bridging fibrosis
Stage 4 肝硬変

 肝生検が望ましい状態

高齢

高度肥満

糖尿病

≧AST / ALT

血小板減少

肝機能低下

線維化マーカー上昇

治療

 脂肪肝に対して

体重減少

ベザフィブラート :AMPキナーゼを介する機序が想定されています(Lancet 354:1299,1999).

 酸化ストレスに対して

瀉血

ビタミンE(J Pediatr 136:734, 2000)

silymarin(マリアアズミ)

N-acetylcystein(Gastroenterology 118:A1444,2000)

 栄養補助剤

カルニチン(Am J Clin Nutr 49:618,1989)

コリン(Hepatology 22:1399,1995)

Betaine(Am J Gastroenterol 96:2711,2001)

 肝庇護剤

ウルソデオキシコール酸(Hepatology 23:1464, 1996)

強力ミノファーゲンC

ポリエンホスファチジルコリン(EPL)

 糖尿病薬

チアゾリジン誘導体:PPARγを介する機序が想定されています.

メトホルミン(Lancet 358:893, 2001) :AMPキナーゼ,TNF-αを介する機序が想定されています.

トログリタゾン(Am J Gastroenterol 96:519, 2001)(注:肝障害の副作用のため販売中止).

 アンジオテンシンII 1型受容体拮抗薬

NASHに対する有効性が報告されています(Hepatology 40:1222,2004).

予後

NASHの20%が10年間で肝硬変に移行し,肝細胞癌の発症も報告されています(Hepatology 35:746, 2002).

 

V.薬剤性肝障害について