インスリンの作用不足により高血糖が続く病気で,1型糖尿病と2型糖尿病に分類されます.1型はインスリン依存型とも呼ばれ,インスリン分泌低下により,2型はインスリン非依存型と呼ばれ,遺伝的要因に過食・運動不足・ストレスなどの生活習慣が重なり発症します.多くは2型であり,成人の6人に1人が糖尿病の疑いがあるとされています.
1型糖尿病 | 2型糖尿病 | |
発症年齢 | 小児-思春期 | 中高年 |
肥満度 | やせ形 | 肥満 |
発症 | 急激に発症 | 緩徐に発症 |
家族歴 | 少ない | 多い |
空腹時血糖値,75g経口糖負荷試験(75g OGTT)2時間値の組み合わせにより,正常型,境界型,糖尿病型に分類します.また,随時血糖値≧200mg/dlまたはHbA1c(NGSP)≧6.5%も糖尿病型とし,糖尿病型が2回以上認められれば糖尿病と診断されます.血糖値とHbA1cが同一採血で糖尿病型を示す場合は,1回の検査で糖尿病と診断可能です.
糖尿病の診断
正常域 糖尿病域 空腹時血糖 <110mg/dl ≧126mg/dl 75g OGTT 2時間値
<140mg/dl
≧200mg/dl
判定
両者をみたすものは正常型
いずれかをみたすものは糖尿病型
糖尿病型にも属さないものは境界型
注:随時血糖≧200mg/dlおよびHbA1c(NGSP)≧6.5%は糖尿病型
治療
血糖コントロール目標
血糖コントロール目標値
高齢者血糖コントロール目標
高齢者血糖コントロール目標
食事療法
1日3回規則正しく食事をとり,間食や夜食は避けるようにします.
運動療法
運動不足にならないよう,散歩等毎日規則正しく行なえるような運動を心がけるようにします.
薬物治療
インスリン
インスリン製剤はインスリンアナログ製剤とヒトインスリン製剤に,作用発現時間や作用持続時間などにより,超速効型,速効型,中間型,持効型,混合型 ,配合型に分類されます.
作用発現時間 | 作用持続時間 | |||
超速攻型 | フィアスプ | 2-4分 | 3-5時間 | インスリンアナログ製剤 |
ノボラピッド | 4-10分 | 3-5時間 | インスリンアナログ製剤 | |
ルムジェブ | 2-4分 | 3-5時間 | インスリンアナログ製剤 | |
ヒューマログ | <15分 | 3-5時間 | インスリンアナログ製剤 | |
アピドラ | <15分 | 3-5時間 | インスリンアナログ製剤 | |
速攻型 | ノボリンR | 30分 | 8時間 | ヒトインスリン製剤 |
ヒューマリンR | 30-60分 | 5-7時間 | ヒトインスリン製剤 | |
中間型 | ヒューマログN | 0.5-1時間 | 18-24時間 | インスリンアナログ製剤 |
ノボリンN | 1.5時間 | 24時間 | ヒトインスリン製剤 | |
ヒューマリンN | 1-3時間 | 18-24時間 | ヒトインスリン製剤 | |
混合型 | ノボラピッド30ミックス | 10--20分 | 24時間 | インスリンアナログ製剤 |
ノボラピッド50ミックス | 10--20分 | 24時間 | インスリンアナログ製剤 | |
ノボラピッド70ミックス | 10--20分 | 24時間 | インスリンアナログ製剤 | |
ノボリン30R | 30分 | 24時間 | ヒトインスリン製剤 | |
ヒューマログミックス25 | 30分-1時間 | 18-24時間 | インスリンアナログ製剤 | |
ヒューマログミックス50 | <15分 | 18-24時間 | インスリンアナログ製剤 | |
ヒューマリン3/7 | 30分-1時間 | 18-24時間 | ヒトインスリン製剤 | |
配合型 | ライゾデグ | 10--20分 | >42時間 | インスリンアナログ製剤 |
持続型 | ||||
トレシーバ | 1-2時間 | >42時間 | インスリンアナログ製剤 | |
レベミル | 1時間 | 24時間 | インスリンアナログ製剤 | |
ランタス | 1時間 | 24時間 | インスリンアナログ製剤 |
インクレチン
消化管より分泌されるインクレチンは膵に対して作用し,インスリンの分泌を促進することにより,血糖調節に関与しています.
GLP-1 (glucagon-like peptide-1)
小腸下部のL細胞から分泌されDPP-4 (dipeptidyl peptidase IV) により分解されます.
GIP (glucose-dependent insulinotropic polypeptide)
小腸上部のK細胞から分泌されDPP-4 (dipeptidyl peptidase IV) により分解されます.
インクレチンの作用
GLP-1 |
GIP |
インスリン分泌促進 |
インスリン分泌促進 |
グルカゴン分泌抑制 |
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膵β細胞増殖促進 |
膵β細胞増殖促進 |
膵β細胞死抑制 |
膵β細胞死抑制 |
胃排泄遅延 |
脂肪細胞への脂肪蓄積 |
食欲抑制作用 |
骨芽細胞へのCa蓄積 |
GLP-1受容体作動薬(注射薬)
一般名 |
商品名 |
用法 |
発現時間 |
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短時間作用型 | エキセナチド | バイエッタ | 1日2回 |
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リキシセナチド | リキスミア | 1日1回 |
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長時間作用型 | リラグルチド | ビクトーザ | 1日1回 |
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超長時間作用型 | エキセナチド |
ビデュリオン (販売中止) |
週1回 |
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デュラグルチド | トルリシティ | 週1回 |
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セマグルチド | オゼンピック | 週1回 |
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配合型 (インスリン+GLP-1) |
リラグルチド | ゾルトファイ | 1日1回 |
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リキシセナチド | ソリクア | 1日1回 |
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経口薬
α-グルコシダーゼ阻害薬 | アカルボース |
グルコバイ / グルコバイOD (販売中止) |
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ボグリボース | ベイスン / ベイスンOD |
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ミグリトール | セイブル / セイブルOD |
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スルフォニル尿素 | |||
グリクロピラミド | デアメリンS |
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アセトヘキサミド | ジメリン |
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クロルプロパミド |
アベマイド / クロルプロパミド (販売中止) |
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グリクラジド | グリミクロン / グリミクロンHA |
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グリペンクラミド | オイグルコン / ダオニール |
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グリメピリド | アマリール / アマリールOD |
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ビグアナイド | メトホルミン | メトグルコ / グリコラン |
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ブホルミン | ジベトス |
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チアジリジン | ピオグリタゾン | アクトス / アクトスOD |
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インスリン分泌促進剤 | ナテグリニド |
スターシス / ファスティック (販売中止) |
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ミチグリニド | グルファスト / グルファストOD |
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レパグリニド |
シュアポスト (販売中止) |
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DPP-4阻害薬 | シタグリプチン | ジャヌビア / グラクティブ |
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アログリプチン | ネシーナ |
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リナグリプチン | トラゼンタ |
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テネリグリプチン | テネリア |
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オキサグリプチン | オングリザ |
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ビルダグリプチン | エクア |
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アナグリプチン | スイニー |
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トレラグリプチン (週1回投与) | ザファテック |
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オマリグリプチン (週1回投与) | マリゼブ |
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SGLT2阻害薬 | イプラグリフロジン | スーグラ |
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ダパグリフロジン | フォシーガ |
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ルセオグリフロジン | ルセフィ / ルセフィODフィルム |
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トホグリフロジン | アプルウェイ / デベルザ |
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カナグリフロジン | カナグル |
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エンパグリフロジン | ジャディアンス |
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GLP-1経口薬 | セマグルチド | リベルサス |
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ミトコンドリア機能改善薬 | イメグリミン | ツイミーグ |
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合剤 | ミチグリニド+ボグリボース | グルべス / グルべス OD |
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アログリプチン+メトホルミン | イニシンク |
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ビルダグリプチン+メトホルミン | エクメット LD / HD |
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アナグリプチン+メトホルミン | メトアナ LD / HD |
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ピオグリタゾン+メトホルミン | メタクト LD / HD |
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ピオグリタゾン+グリメピリド | ソニアス LD / HD |
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ピオグリタゾン+アログリプチン | リオベル LD / HD |
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テネリグリプチン+カナグリフロジン | カナリア |
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シタグリプチン+イプラグリフロジン | スージャヌ |
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リナグリプチン+エンパグリフロジン | トラディアンス AP / BP |
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